イモリ幼体の餌付け方法について解説します。
イモリ幼体の餌付けの流れ
まずはイモリ幼体の餌付けの流れについて解説します。
上陸直後から一週間ぐらいまで
まず、イモリ幼体は上陸してからしばらく餌を食べません。早い子は2日、平均で一週間から2週間もすれば餌を食べるようになりますが、長い子では1か月以上食べないこともあります。イモリは幼体でも絶食に強く、数週間程度であれば問題ないことが多いです。何をしても餌を食べないときは焦らずにじっと待ちましょう。
上陸後数日から2週間目ぐらいまで
そろそろ餌を食べ始めるころになったら、生きた餌を準備します。実際は餌を食べ始める時期なんかわからないので、上陸したら餌を用意することになります。
上陸直後のイモリの幼体は、小さい昆虫しか食べないとされています。たとえば、トビムシやコオロギの1齢幼虫(ピンヘッドコオロギ)、アブラムシ、ショウジョウバエ(フライトレス)産まれたてのワラジムシなどです。実際、アカハライモリは人に慣れにくいため、これらの極小昆虫は用意したほうがいいでしょう。
これらの極小昆虫はケージに放り込んでおけば勝手に食べてくれます。特に、コオロギは非常に食いつきがよいですがすぐに成長してしまうため日持ちしないため扱いが難しいです。
イトミミズ・赤虫はよく食べる
私の場合、まったく極小昆虫を食べない子でもイトミミズだけは特別に食いつきが良く、ピンセットでつまむと大抵の個体はよく食べてくれました。
イトミミズの他にも、アカムシやグリンダルワームなども食べますが、極小昆虫しか食べないような段階の幼体はほとんど見向きもしませんでした。私の経験上、ピンセットで与えたほうが食いつきが良かったです。私は爬虫類給餌用の長いピンセットでイトミミズをつまんで与えています。
ちなみにシリケンイモリの場合は第1段階を飛ばしていきなりイトミミズを食べました。今のところすべての個体がイトミミズを食べています。
第三段階 上陸後1か月以降
生きた餌をピンセットから食べるようになれば、ようやく配合飼料や冷凍赤虫を食べられるようになります。私の場合、イモリの餌を水でふやかして、ピンセットでつまんで与えています。この時、イトミミズが入っていた容器の水でふやかしているので、臭いがついているのかもしれません。シリケンイモリの場合、イトミミズではなくいきなり配合飼料を食べた子もいます。また、アカハラの場合はいつまで経っても配合飼料を食べないことも多いです。
第四段階
さらに慣れてくると、配合飼料を壁にくっつけておいても食べてくれるようになります。ここまでくれば成体と同じ感覚で飼育できるので非常に手間がかからなくなります。
餌付けには個体差が激しい
このように、餌付けにかかる時間や時期は品種や個体によって異なります。私が飼育しているシリケンイモリでもう10センチ近い個体がいますが、ものすごく餌にうるさいです。未だに配合飼料を食べないときもありますが、アカムシやイトミミズを与えるとものすごい勢いで食いついてきます。一方で、同居しているアマミシリケンは配合飼料でもよく食べています。
餌を食べられるようになった段階
イモリを繁殖させると、オタマジャクシが上陸して小さな幼体になります。
しかしこの時期の餌付けは非常に難しく、**「餌を食べないまま衰弱してしまう」**というトラブルも少なくありません。
その理由は、
- 口が小さく食べられる餌が限られる
- 動きのあるものにしか反応しない
- 人工飼料に慣れるのに時間がかかる
といった幼体特有の性質があるためです。
この記事では、上陸直後に最適な餌 → 生き餌中心の期間 → 人工飼料への切り替えまでを、ステップごとに解説していきます。
第1章:イモリ幼体の上陸直後に必要な栄養
イモリ幼体は、成長が著しく早い段階にあります。
- 骨格や筋肉を作るための高タンパク質
- 健康な皮膚と代謝に必要なビタミン・ミネラル
- 将来的な骨格形成に欠かせないカルシウム
これらをバランスよく摂取する必要があります。
ただし幼体はまだ捕食スキルも弱く、**「小さく動く生き餌」**でなければ認識できません。
そのため、最初の餌選びが飼育成功を大きく左右します。
第2章:最初に与えるべき餌
上陸直後の幼体には以下のような小さな生き餌が適しています。
イトミミズ
イトミミズが最強の生き餌でした。地面に置いておくよりも、壁に貼り付けたりピンセットでつまんで与えたほうが食いつきが良かったです。イトミミズの他にも赤虫もおすすめですが入手しにくいのでイトミミズがベストです。
● トビムシ
- サイズが小さく、口の小さな幼体でも食べやすい
- 常に動き回るため、捕食本能を刺激する
- 小型プラケースで自家繁殖も可能で、安定供給できる
● アブラムシ
- 野外で見つかる小型の昆虫で、幼体の大好物
- 動きがあるため、食いつきが非常に良い
- ※注意点:農薬がかかっていない植物から採取すること
● グリンダルワーム
- 柔らかい細長いミミズ状の小動物
- 口が小さい幼体でも丸呑みできるサイズ
- 室内で簡単に培養できるので安定した餌源になる
与え方のコツ
- ピンセットで軽く動かして見せると捕食スイッチが入りやすい
- 湿度を維持し、餌が元気に動ける状態を保つ
- 食べ残しは腐敗の原因になるため、必ず回収する
第3章:生き餌中心の期間
イモリ幼体は、動くものしか餌と認識できない時期があります。
このため、最初は人工飼料ではなく生き餌のみで育てるのが鉄則です。
- 成長に合わせて餌サイズを少しずつ大きくしていく
- 多頭飼育では餌不足により共食いリスクがあるので要注意
- 生き餌を切らさないように、複数種をローテーションすると安心
第4章:人工飼料への切り替え方
幼体がある程度成長し、安定して生き餌を捕食できるようになったら、次のステップは人工飼料への移行です。
人工飼料に慣れさせることで、餌管理が楽になり、栄養バランスも安定します。
ステップ1:生き餌と人工飼料を混ぜて与える
- 最初は生き餌の動きでイモリの興味を引きつけ、人工飼料を一緒に食べさせる方法が有効です。
- 例:トビムシやグリンダルワームと一緒に細かくした人工飼料を置く。
ステップ2:ピンセットで人工飼料を動かす
- 幼体は「動くもの=餌」と認識します。
- ピンセットで人工飼料をつまみ、小さく動かして見せることで食いつきやすくなります。
ステップ3:人工飼料の比率を増やす
- 徐々に生き餌の量を減らし、人工飼料の割合を増やしていきます。
- ある日突然切り替えるのではなく、1〜2週間かけて少しずつ移行するのが成功のコツです。
ステップ4:焦らず個体差に合わせる
- 中にはいつまでも人工飼料を食べない個体もいます。
- 無理に切り替えると餌を食べなくなり衰弱死のリスクがあるため、根気よく併用を続けましょう。
第5章:まとめ
幼体期の餌付け成功のポイント
- 上陸直後は小さな生き餌が必須
- トビムシ、アブラムシ、グリンダルワームが有効
- 動くものにしか反応しないため、生き餌中心で育てる
- 人工飼料は徐々に慣らす
- 生き餌と混ぜる → 動かして見せる → 少しずつ切り替え
- 焦らず個体差に対応する
- 食べない個体は無理せず生き餌を継続する
✅ 結論
イモリ幼体の飼育で最も大切なのは、**「小さい口でも食べられる動く餌を与えること」**です。
トビムシ・アブラムシ・グリンダルワームといった小型生き餌を使うことで、食いつきが良く、健康的に成長させることができます。
そのうえで、徐々に人工飼料へ慣れさせれば、栄養バランスと管理のしやすさを両立できます。
👉 幼体期の餌付けに成功すれば、その後の長期飼育の安定度が大きく変わるので、ぜひ今回のステップを参考にしてみてください。
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